日本生活10年目の夫。突然悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性ステージIVa)の宣告。夫と息子と私の日常。


by ksma2005
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

突然の始まり

 ちょうど一か月前のある日、
夫が、耳の下に腫れがあるので、病院に行こうと思っていると言い出す。

 今から2年半以上前、震災の直後にK大学付属病院で
耳の聞こえが悪いと手術を受けたことがあった。
箇所が近いので腫れと関係があるのではないかと。

 確かに言われてみると、右耳の下がポッコリ腫れている・・・。
診てもらった方がいいのは一目瞭然だった。

 大学病院に突然行くのは、どうなのかな、と思った。
前回診察してもらってから2年半以上経っているし、
初診で突然行っちゃいけないんじゃないかと思った。
近所のクリニックに診せて、
紹介状を書いてもらった方がいいんじゃないかと言った。

 ところが夫は私の忠告を聞かず(結果としてはそれが吉と出たわけだけど)、
11月9日の朝出勤する前に、直接K大学附属病院に行ってしまったらしい。

 手術した時の主治医の先生の診察日ではなかったそうで、
代わりの先生が見てくれて、血液検査をしてもらって、
化膿しているかもしれないからと1週間分の抗生物質を処方してもらったとか。
主治医のО先生の診察は、11月20日。

**********************
 11月20日に、出勤前に一人でK大学付属病院に行った夫。
抗生物質を飲んでも、腫れはひかなかった。
以前手術した場所とは関係がなかったのかも。

 夕方近くに夫から電話。
私は職場にいたので、慌ただしく電話で様子を聞く。

 どうやら何かの腫瘍らしいとのこと。
唾液線にできる腫瘍なのではないかとO先生は疑っているとのことだった。
腫瘍が良性か悪性か見極めるために、針で一部の組織を取ったとかで、
頭部のCTも取ったとか。

 ネットであれこれ調べる。
悪性だった場合はすぐに手術で摘出する、顔面神経を残す手術が
発達していて術後もすぐに普通にに戻るといったようなことが
書かれていた。
良性だった場合でも、将来悪性になる可能性があるので、
日程を合わせて早めに手術すると書かれていた。

 そのころは、悪性じゃないといいね、冬休みのバンコク旅行どうしようか、
有給休暇足りるかな、などと言っていた。
悪性っていうのは「癌」ってことだから、ちょっと嫌な気持ちがした。
次回の予約は11月28日。

************************
 11月28日は、仕事でとても忙しく、帰宅が日付が変わってからになることが
予想されていた。
夫は、今度も一人で病院に行くという。
朝9時半に予約が入っているとかで、いつもどおり朝電車で息子を送ってって
その足で病院に行くと言っていた。

 午後になっても連絡がないので、ちょっと心配だった。
携帯に電話するも、「電波が届かない」との音声が。
まだ検査中で、オフにしているのかな、などと何度かかけて思っていた。

 4時ごろ、夫からスマホにメッセージ。
「lymphoma. 宝くじ当たっちゃった」と短い。
は?意味わからない。
「?」とメッセージを返すと、
一言、「cancer」と書かれていた。

 頭が真っ白になる。
どういうこと?

 電話すると、夫が出た。
「今どこ?」
「職場」
妙に落ち着いた声。

 診察に行くと、O先生は、前回の診察の時、針で取った組織を見たら
悪性で、しかも唾液腺にできた腫瘍ではなくて、悪性リンパ腫の疑いがある
と言われたとか。

 12月4日に、検査の予約を入れてもらったとか。
検査は、PETと言われる全身のどこに病巣があるか調べる検査と、
小さい手術で、腫瘍の種類を調べるために組織をとるのだとか。

 「lymphomaって言われてはっきり言って何のことかわからないし、
悪いものなんだろうなってことはわかったけど。
で、病室出てすぐに、スマホで検索しようと思ったら、電池切れ・・・。」
夫は笑いながら言う。
「職場に戻るまで、自分が何の病気って言われたかもわからなくて、
ほんと悶々としたよ。なんかすごい滑稽な状況っていうか、笑えた」

*********************
 その日は夜中3時まで仕事。
こんな日に限って、帰れない。
心ここにあらずって感じ。でも職場の人にも言えないし、
なんていう一日何だって感じ。
パソコンの見すぎか寝不足か頭もすごく痛い。
一人になると涙が出てきてしまいそうで、トイレにも行きたくない。
 
 朝方家に戻ると、夫も息子も眠っていた。
物音をたてると、夫がちょっとだけ目を覚まして、
「悩んでもしかたないよ。とりあえず寝よう」という。
涙が出て我慢できない。
何でこんなことになるの?

***********************
 次の日も、運悪く深夜まで仕事。
昼間に、夫に職場から何度か電話。
夫も職場なので長くは話せない。

 とりあえず、2人ともネットであれこれ検索しまくりなことが分かった。
ただ、タイプがいくつにも分かれているみたいで、検査をしないことには
どのタイプで、どのような段階で、今後どんな治療をするのかもわからない。

 夫は、びっくりするぐらい前向きで落ち着いている。
とりあえず心配するから夫の両親と、友人知人には話さないでほしいと言われる。
8歳の息子にも絶対病気のことは知らせたくないのだとか。

 唯一私の両親と叔父には話そうと言われた。
「色々世話になるだろうから」とのこと。
 
 「あとどのぐらい生きられるんだろう。ネットとかでは生存率とか書いてあるよね。
あと10年、絶対欲しい。息子がどうにか大学に入るまでは。
そのあとは、家族の重荷になるから死んでもいいけど、
あの子はほっていおいても自分で勉強できる子じゃない」と言う。
夫は息子のことだけが心にかかるようだ。

 私は、家族も長生きが多いし(2年前に亡くなった祖母は94歳だった)、
痩せていて、自分は長生きするという根拠のない自信のようなものがある
(みんな自分だけは大丈夫と思うんだろうけど。)。
ただ、メタボ気味で、夜更かし気味で、ジャンクフードの大好きな夫は、
きっと長生きしないで、おばあちゃんになってから、老後は一人ぼっちかもと
前からなんとなく思っていた。
でも、まさか、こんなに早くなんて、そんなの聞いてないよ・・・。

 夜になると、一人で涙が出て、止まらない。

 夫は、「病気になったのは僕で、周りにめそめそされると困る。
ただでさえ、これから治療とかで辛そうなのに、周りで支えてもらわないと」という。
そうだよね。
でも、これまでの自分たちのこととか振り返ってみて、色々後悔してしまうのだ。
もっと、家族の時間を大事にすればよかったなとか、
夫にも、つらく当たり気味だったし・・・。

 今更、こういうことになって、日常の何気ない生活とか、家族とかの
大切さに気付くなんて、遅すぎる・・・。





 
by ksma2005 | 2013-12-01 21:14 | 診断